連載「頭のよい人はいつ勉強が好きになったのか」第2回

今回は、経営コンサルタントの藤村さんにインタビュー。
藤村さんは、東京大学を卒業後、イギリスへ留学。
その後、社会人経験を経て、
ハーバード大学ケネディスクール(公共政策大学院)修士課程を
修了されています。

もう学歴からしてマンガに登場するキャラクター並みに
エッジが効いています。

藤村慎也さん

藤村さんへのインタビュー内容は、次の通りでした。

(荘司、以下「S」)
勉強することの面白さや楽しさを
意識し始めたキッカケは何でしたか?

(藤村、以下「F」)
中学2年生の頃、社会科の授業で新聞の切り抜きをまとめて
社会の動きを読み取るという授業がありました。
ベルリンの壁が崩壊するなど東ヨーロッパ諸国の共産党国家で
次々と革命が起きていた時代です。
世の中ってのは、「革命なんてものが本当に起きるんだなぁ」と
子どもながらに衝撃を受けたのです。
新聞の切り抜きをまとめながら
社会の動きやその背景を読み取ることの面白さも知りました。
それが「もっと勉強してみよう」と思い始めたキッカケでした。

(S)
(゜▽、゜ 私が中学生の頃は新聞を読んでも、
TV番組欄と4コマ漫画しか見ませんでした。
そう言えば、私が高校2年生の時に湾岸戦争が起きました。
ミサイルが発射されている映像がTVニュースで流れたのです。
その際に、なぜ戦争が起きたのか、
その理由や背景に関心を持てばよかったと
今のお話を聞いて後悔しております。
あの当時に池上彰さんのような先生がいたら、
自主的な勉強の世界への扉を開いてもらえたかもしれません。
最初の一歩さえ踏み出せれば、勉強することの意義を
どんどん見出せますからね。

(F)
勉強することを意識するようになった理由は他にもあって、
中学校時代の最初のテストでは成績がさほどよくなかったのです。
悔しくて勉強に集中したら、次の中間テストで成績が上がった。
その時、勉強すれば成果として表れるということを実感しました。
それも勉強というものを意識するキッカケとなりました。

(S)
その当時、趣味というか、はまっていたものってありましたか?

(F)
私は野球少年でした。野球にはまっていましたね。
ポジションはキャッチャーでした。

(S)
おー、そうだったのですか!出身はどちらですか?

(F)
愛媛県松山市です。恵まれた環境の中でノビノビと育てられました。

(S)
不便を感じたことはありませんか。

(F)
そうですね、東京大学を受験しようと決めた頃、
分からない部分について、私が納得できるように教えて貰える
先生が見つからなかったことです。

(S)
そんな場合って、どう解決するのですか?

(F)
自分で考えるしかないので、考え続けました。
書店に通い、関連書籍に目を通したりしながら。

(S)
自分で考える。
(「池上彰さんのような先生に頼ろうとした自分が恥ずかしい。。。」
と心の中でつぶやく。)
私は考えることが嫌いで、すぐに答えを知りたくなります。
ただ、その答えがない。教えてくれる人もいない。
そうなったら、自分で考え続けるしかない。
でも、この話って、ビジネスや経営の世界にも
通ずるものがありますね。
社会人になれば、自分で答えを考え出すしかないので。

(F)
私は考えることが好きでした。だから、考え続けました。

(S)
藤村さんの話をお聞きして、子ども時代に考えることの大切さ、
面白さを経験させることは、
人材育成の上でとても重要なことのように思えてきました。
もし、子どもに「何のために勉強しなきゃならないの?」
と聞かれたら、何と答えますか?

(F)
「勉強することで世界を広げることができる。
勉強の先には、ワクワクする新しい世界が待っている」
と伝えます。
私が中学1年生の頃、親友だと思っていた友人から
理不尽な扱いを受けました。その時はとても悩みました。
悩み抜いたあげく、自分自身が変わろうという結論にいたりました。
自分が変われば、自分をとりまく他者の意識も変わるだろうと。
その延長で社会も変えられるのではないかと考えたのです。
その根底にあったのが勉強のように思えます。

(S)
勉強することで人生を変えられることに気付いた訳ですね。
勉強には人生を変える力があるというか。

(F)
世の中には、様々な価値観やモノサシのようなものがあって、
思想も含め、正しいもの1つとは限らないと思うのです。
日本の場合、価値観を一本化しようとする傾向がありますが、
これからの時代は、価値観の多様性を受け入れた上で、
それを積極的に活用しながら人づくり、街づくり、
国づくりを進めていくべきだと考えています。

(S)
私も自分の意見や考えが最も正しいと思い込み、
他人の意見をすぐに否定してしまう短所があるので、
価値観の多様性を胸に刻み、勉強し直したいと思います。
本日はありがとうございました。

*インタビュー後の感想:
TVドラマの世界や、ヒーロー達の考え方はいずれも答えが1つで、
その価値観は誰もが支持賛同できるものであった。
でもそれは所詮、TVの世界での話であって、
現実は、正義に対する考え方も、公益性に対する思想も、
常識のとらえ方も十人十色であることを知る。
恋人どうしがケンカするのも、政治がもめるのも、
戦争や紛争が絶えないのも価値観の違いによる。
互いの価値観を認め合えるようになるために勉強が必要となる。
勉強を重ねなければ、世界を変えることはできない。
答えのない問題を解決していかねばならないのだから。

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