連載:「頭のよい人はいつ勉強が好きになったのか」
前回に引き続き、
コーチングファームの執行役員の日田さん
(コロンビア大学バイオエンジニアリング学部を経て、
東京大学法学部を卒業)に取材させて頂きました。
前回は、日田さんのお母様とのエピソードをお話し頂きました。
今回は、いよいよ日田さんの勉強法に迫ります。
(荘司)
日田さんの勉強法の工夫について教えてください。
(日田)
手当たり次第に参考書を買ったりはせず、
基本書一冊で全て通しました。
そこには基本問題と応用問題があり、
それを交互に何回も繰り返し勉強しました。
空で問題を言える位に一冊を完璧にマスターする。
それが私のやり方でした。
(荘司)
いろんな参考書や勉強法を試みて、
一番、最適な方法を選んでいくのではないですか?
私は、ついついいろんな参考書や勉強を試してしまいます。
(日田)
基本原則を頭にいれて、
応用は創造力によるところが大きい気がします。
基本をマスターした後に自分の頭でつくり出せばいい。
応用とは基本の組み合わせ方だと思っています。
これを教えてくれたのは父で、
「1冊以外使うな」、「繰り返しやれ」
と教わっていたのです。
(荘司)
基本をマスターしたら
後は創造力という発想もお父様から教わったのですか?
(日田)
いえ、父は、そういったアドバイスはしません。
ToDo(明確な期限はないが実行すべきこと)
だけを伝えてくるだけです。
最低3回繰り返して100点がとれるまで同じ問題をやれ、
ということです。
英語の参考書の場合、最初に基本問題があり、
次に応用問題がありました。
1回目に基本問題を解く。
2回、3回と100点をとれるまで繰り返し解きます。
そのタイミングで父が「ここのページで何が分かった?」
と聞いてくるので、
何を頭にいれたのかを自分の言葉にして答えました。
次は応用問題を解きます。
先ほど解いた基本問題を通じて
理解したことをどのようにリンクさせるかを
確認しながら解いていきます。
これをまた100点取れるまで繰り返します。
ここで、また父が「何が分かった?」とたずねてきます。
そこで、基本問題と応用問題との繋がりを
自分なりに言葉にしてみます。
最後は、問題を父が音読します。
それに私が答えていきます。
聞いて即座に答えるのが仕上げです。
これだけ同じ問題を繰り返すと、
問題文まで暗記してしまうのです・・・。
この話は、小学校4年くらいまでの話ですが、
大学時代で法律を学んでいる時も同様に勉強しました。
民法と一口に言っても民法の教科書の種類は数多くあります。
その時も特定の基本書のみをマスターし、
とにかく、基本を頭に叩き込むことだけに集中します。
今、振り返れば、学問のすべてをその方法で勉強してきました。
(荘司)
。(゜▽、゜ そ、尊敬します・・・。
(日田)
そんなことはありません。
大学では単位もたくさん落としたし、
2年も留年もしました(笑)。
今回の趣旨って頭のいい子の勉強方法でしたっけ?
期待に添えなくてごめんなさい。
優秀な生徒ではありませんでした。
今、考えれば法学部時代の私の勉強法は
特に効率が悪かったです。
法学部時代、
テストは全部論述式で法律解釈を問われるのですが、
自分の考え(創造力)を駆使して回答しても、
能力がついていかないので、
全く評価されませんでした。
出題者(教授)は30年以上、その解釈の研究している訳で、
そこに私が自分の考えをもって
回答しても論破できる訳ないのです。
評価してもらうには、
問題作成者である教授「説」を暗記し、
それをそのまま回答すればが手っとり早いのですが、
私はその辺が不器用で、
他人の論理をただ暗記することができない。
何度も自分の頭の中で考え抜き、
教授のもとに出向いて「私はこう思います」
と直談判しながら対話を重ね、
その上で納得した理論を回答し続けました。
結果当然ですが、
その先生の論理に落ち着くことが多かったですね。
ただ遠回りしていて、それでも、
自分で考え、議論し、創り上げていくプロセスは愉しかったです。
(荘司)
すごい世界ですね。
また小学校、中学校時代は、優等生だったのでしょうか?
(日田)
小学校、中学校時代は学校の成績は良かった方ですね。
遊びたい、食べたいという勉強以外の所に欲望があったので、
単に勉強を効率的に終わらせることを目指していたのです。
そこにあったのは、勉強の面白さでなく、
ご褒美に向かってまっしぐらです。
効率性重視でした。
ただ、徐々に高校や大学時代には、
そこに価値をおかなくなりました。
どちらかというと、非効率的な方向に向かったと思います。
* * *
なぜ、日田さんはそこに価値をおかなくなったのでしょうか。
次回は、日田さんに
「勉強すること自体の面白さに気づいた理由」
を語って頂きました。
こちらまで勉強したくなってくる話です。
ご期待ください。
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