女性:鼻をかむ

今月のコラムは「コミュニケーション」について
考えるということで始まりました。
質問のご回答を下さった皆さんありがとうございました!
本当に励みになるので、お気軽に質問やご意見
よろしくお願いします。

さて、今回から具体的に「コミュニケーション」の本質について
考えていきたいと思います。
前回もお伺いしましたが、今回ももう一度お伺いしましょう。

みなさんにとって「コミュニケーション」とはなんでしょう?

実は、僕がこの様に何度も質問をするのは理由があります。

あの人とはコミュニケーションが成立しない。
子どもや部下にコミュニケーション能力を高めて欲しい。
人とのコミュニケーションを上手に行うにはどうしたらいいか。

多くの人がこの様な悩みを抱いていることは、
みなさんもご存知でしょう。
しかし、改善された事例はあまり聞かないんですね。

それは何故かというと「コミュニケーション」に対する定義が
各人によって違うからなんです。
そもそも、「コミュニケーション」の前提条件が
整っていないのです。
その状態で何を話しても解決するはずがありません。
定義が違うわけですから。

この様な経験から、僕はコミュニケーションには
レベルが存在すると思っています。
そして、レベルによってコミュニケーションの時に感じる
「ホスピタリティ」が違うことに気づきました。

それを今回からご紹介したいと思います。

「コミュニケーション」のレベルは
大きく分けて3つに分類されます。

細かく分ければいくらでも分ける事はできそうですが、
便宜的に大枠で3つご紹介していきます。
今回はまず、そのうちの1つ。

コミュニケーションとは
情報伝達の手段

まんまですね。

全てのコミュニケーションは言葉、ジェスチャー、表情など
なんらかの情報を媒体として相手に何かを投げかける作業です。
会話も「言葉のキャッチボール」と例えられることが多いですが、
まさしく、「情報のキャッチボール」が
コミュニケーションの大前提と言えるでしょう。

それでは、この定義に立って具体例を見てみましょう。

A「鼻水出る。ティッシュどこ」
B「僕の目の前の机の上だよ」

これは明らかに「情報伝達」としては成立しています。
つまり、コミュニケーションの定義を「情報伝達」とすると、
コミュニケーションが成立している様に見えます
(むしろ、その定義に立てば確実に成立しています)。
しかし、Aさんの「ティッシュどこ?」に対しては
確実に答えを返しているのものの、
どこか不完全な形がするのは僕だけではないはずです。

確かに大前提は満たしていながら、
コミュニケーションの成立を問われると首を傾げたくなる内容です。

そう。Aさんの発話は伝達すること自体が目的ではなく
別の「意図」が存在するからです。
この場合において、Aさんの意図が
「ティッシュの場所を聞くこと」ではなく、
「鼻をかむこと」なのは自明なのに対して、
Bさんの思慮はそこに至っていません。
そうなると、「コミュニケーション」の本質は
もう少し広げて考えていく必要がありそうです。

次回はこの立場から「コミュニケーションとは何なのか」
再び考えてみたいと思います。

ここまでの話は、当たり前過ぎる話で
「そんなの分かってるよ」と思われた方もいるかもしれません。

しかし、ここで重要なのは、実際に「コミュニケーション」を
この立場で行っている人が存在するということです。
そして、「コミュニケーション能力を改善(向上)する」ことを
考える上で、相手が「コミュニケーションをどの様に捉えているか」
という点を理解することが極めて重要な要素となります。

コミュニケーションが上手な人がコミュニケーションについて
立ち止まって考える機会は少ないですから、
コミュケーションが苦手な人へのアドバイスを考える点で、
相手との常識にどこまでズレがあるのか考えることを
疎かにしてしまっているケースは多く考えられます。

子どもにコミュニケーションについて話す場合も同様です。
親と子どもでは会話の質も量も当然異なります。
必然的にコミュニケーションに関する「常識」が
ズレた状態からスタートするわけです。
そして、実はその「常識」のズレについて最も速く理解し、
そして最も粘り強く付き合う機会があるのは親に他なりません。
お子様にどういうコミュンケーションを取れる人間に
なって欲しいか、考えてみることが大切ではないでしょうか。

かくいう私はご存知の通りコミュニケーションが
上手ではありませんので、何卒皆様、
暖かい目で見守って下さると幸いです(笑)。

それでは、今日も良い1日を!

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