最近、高校教師の前で、
授業技術向上のための講演をする機会がありました。
ただ、予備校講師だからと「受験テクニック」などを
期待されても困るので、自分の立場を伝え、
決して圧倒的なスキルがある訳ではないこと、
毎年変化する目の前の受験生を見ながら模索を続けていること、
試験が学びの終わりでは無く学び続ける人になって欲しいと
願って授業していることなど、
自分の教育観も披瀝させていただきました。
「即効性のあるスキルを期待したのに」
とがっかりされることも予想したのですが、嘘はつきたくないし、
「ダメなら次から別の講師に依頼が行くだろうからいいや」
と開き直って話しました。
結果、講演会の主催側としても「目先のスキル」よりも、
その背景の「教育観」が大切だと考えているようで、
かえって喜ばれたようでした。
(個々の先生方がどう思ったかは分かりませんが(笑))
安堵する一方で、かつては教育における諸悪の根源のように
忌み嫌われた予備校に「教育観」を求めるとは
教育の世界も随分変わったなあと感じました。
それにしても、教育実習の際、稚拙だったにせよ
精一杯自分の教育に関する考え方を日誌に書いたことを
教頭先生に注意され、「己の教育観も表明できないならば」と、
公教育を断念した自分が、巡り巡って先生方の前で
教育観を語るなど、何という皮肉な巡り合わせでしょう。
ふと、「ゴルゴ13」の話を思い出しました。
『ゴルゴ13』で有名な漫画家のさいとうたかお氏は
理髪業界への貢献者を表彰する「理容チョキちゃん大賞」
受賞の際「因縁だなぁと思いましたよ」と語りました。
氏は実家の理髪店を一度は継ぐのですが、
1年の期限付きでお願いし、働きながら描いた漫画が
デビューにつながったからです。
ずっと昔に縁を切ったと思った理髪店の業界から
表彰されることになったのです。
さいとう氏のレベルとは雲泥の差がありますが、
私の場合も何かの因縁なのかなあ・・・と感じた次第です。
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