親子:ギャップ

娘が免許を取るというので、先日自動車教習所へ行って来ました。

娘が手続きをしている間、他の親子の会話が耳に入ってきました。
「マニュアルかオートマチックか」を選択する場面でお父さんが
「マニュアルまで取った方が良い」というのに対し、
お母さんと娘が「オートマで十分だよ」と反論していました。
お父さんは「マニュアルまでマスターするのが当たり前」
という感覚で主張されていましたが、
マニュアル車はもはや全体の2%に過ぎないそうです。
親の時代と子どもの時代の常識のズレが
露呈した場面だったでしょう。

予備校での三者面談などでもそのような問題が
おきる場合があります。
親御さんの中には「大学に進学さえすれば安定した職業につける」
という感覚をお持ちの方もいらっしゃるのです。

しかし、もはや大学進学率は50%を越え、
同年代の「2人に1人」が大学に進学する時代です。
大学卒業の資格が昔ほどアドバンテージになる時代ではありません。
さらに最近、「2012年春に卒業した大学生のうち、
安定的な職についていない人が22.9%にのぼる(*)」
という報道がありました。
4年生大学を卒業しながら安定的な職についていない人が
5人に1人もいる時代状況なのです。

大学を卒業されていない親御さんの中で
「大学卒業の資格があれば就職の時に圧倒的に有利」
という印象をお持ちの方もいます。
逆にご自身が大学を卒業されている親御さんの中には
「大学時代遊んでいても就職できた」という感覚の方も
いらっしゃいます。
確かに大学時代の勉強はさほど問うことなく、
新卒者を企業の中で教育する時代もありましたが、
もはや「企業で教育する」よりも「即戦力を採用する」時代です。

残念ながらいずれの親御さんの印象も
現代の時代状況とはズレてしまっています。

我々のような大学受験業界の人間、大学関係者、
企業のリクルート担当者などがそのような現実を発信し、
子ども達の将来のためにそれぞれの時期に何が必要なのかを整理し、
教育の世界に還元していくことが求められているのだろうと
思います。

(*)
2012年8月28日朝日新聞

 

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