教科書を「理解し覚える」勉強を卒業した後、
どのような勉強方法が妥当でしょうか。
前回、歴史の教科書の記述は多数派による歴史像である通説が
掲載されていると書きました。
他の教科でもそういう側面があります。
もし、大学で教わる先生が少数派の場合、
今まで学んだことが間違っていたのかと
当惑する人も出てくるでしょう。
また、経済学などになると論者によって
結論が全く逆になることも少なくないのです。
書店に並んでいる経済関係の本を眺めると、
日本経済は「危機的だ」から「全く問題ない」まで実に様々です。
つまり大学以降の学びは、複数の「正しい」に遭遇することに
なるので、どれを選択するか「自分で判断」する必要が生じます。
だから全ての情報を無批判に受け容れて覚えるだけでは無く
「疑う」ことも必要になるのです。
でも全てを丸暗記しようとすると相互に矛盾することも出てくるし、
全てを疑い出すときりがありません。
どうしたら良いでしょうか。
例えば高校までの教科書を視点を変えて活用します。
教科書の記述は「多数派」の考えだと書きましたが、
意見が分かれている部分はぼかして書いたり
両論併記したりしています。
よって、取りあえず教科書の記述を正しいものをみなして学び、
意見が分かれている部分は複数の論者の見解を
「比較して自分で選択する」のです。
注意したいのは、論者のAかBかの「結論」だけでなく
「論拠」に注目することです。
「なぜそう言えるのか」という部分の「論理」を比べ、
より納得できる論理を選択するのです。
最近、「大人のための教科書」とか「学び直し」というタイプの
書籍が増えてきました。
社会人になって学び直したいけれど
何から学べば良いのか迷っている人が増えていることの
結果では無いでしょうか。
まずは「教科書」を基本とし、意見の異なる部分について、
各人にとっての「正しさ」を選択し、
全体として自分の考えを構築していくというのが
大学以降の学び方になるでしょう。
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