職業の変遷

前回は、「国外労働力の日本市場への参入」について触れました。
今回は、労働市場における日本企業の動向について
考えていきましょう。

「フリーター」という言葉は、
リクルート社がアルバイト情報誌の「フロム・エー」で
非正規雇用職員に向けて使用したことに始まり、
現在では一般的な言葉になっています。

そして、この「フリーター」がある時を境に、
現在に至るまで急激に増え続けているのが現状です。

では、どうして「フリーター」が増加するようになったのか、
企業の動向をもう一度見つめ直してみましょう。

1986年に労働者派遣法が成立し、
「派遣」という業態が認められることになりました。
当初は専門性の高い限定された職種に限り
認められていたこの法律ですが、
年を追うごとに徐々に緩和がなされ、
現在では殆ど全ての業態(認可や免許が必要な場合がありますが)
で実質的に自由化されています。
こうした経緯で、企業は「派遣社員」を雇用することが認められ、
長期間での雇用を法的に強制されることがなくなりました。

それからの企業の動向はご存知の通りで、
今まで正規職員が賄っていた仕事を非正規職員に
「切り売り」することができるようになりました。
企業側からすれば、雇用に対するリスクが大幅に減り、
「新卒」採用の側面でのみ、
ある程度の目を光らせれば事足りるようになったのです。

そして、この「仕事」の「切り売り」という風潮に拍車が掛り、
インターネットなどの普及により
社会は急速にグローバル化を進めました。
そこで、今までの「切り売り」の相手として、
外国人労働者にその白羽の矢が立ち始めました。

構図としては「フリーター」から「外国人労働者」へ
仕事の売り先が変わっただけの様に思いますが、
このケースは以前のものとは決定的に異なる要素を含んでいます。

「フリーター」には「誰にでも出来る仕事」を
切り売りしていたのに対して、外国人労働者には
「正規職員が専門的にする仕事」ですら
安い賃金で切り売りできるようになったのです。

この様に、現代の企業の動向はたった10年前と比べても
大きく変化しています。
日本社会に根付いた「学歴社会」や「終身雇用」も、
以前と比較するとその意味合いが大きく異なる様になったのです。

次回は、このような社会へ羽ばたく学生たちに、
どのように未来を見据えていくべきか僕なりの意見を述べて、
学歴社会編に筆を置きたいと思います。

それでは皆様、良い一日を!

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