理科という科目で何を学べるのかというテーマで、
前回からお送りしています。
前回はちょっと含みを持たせた
「引き」(続くこと)にしてしまったので、
ハードルが少々上がってしまったと後悔しています。
算数・数学と理科との決定的な違いについて、
問題を投げかけて終わりましたね。
早速ですが、違いをみていきましょう。
違い。それは、算数や数学は「数」という
非常に秩序立った(ルールが絶対的な)世界において
仮説を立てるのに対し、
理科では現実世界の「自然現象」について
仮説を立てているところです。
例えば物が落下する時の距離を表す公式に
落下距離 = 1/2×重力加速度×時間の2乗
というものがあります。
そして座学で学ぶ物理の試験では、
落下距離を計算させる問題が出てきます。
こういった問題には、必ず以下のような但し書きがついてきます。
(1)空気抵抗は無視する
(2)重力加速度は 9.8 とする
これはどういうことか。
実際に落とした場合にそうなるとは限りませんよ。
数値の精密性を重視した場合、
この数字は全くの嘘っぱちな可能性が十分ありますよ。
ということを明言してしまっているのです。
これが算数の式であれば
三角形の面積公式 = 底辺 × 高さ × 1/2
これに数字を代入することで三角形の面積を求めることができます。
底辺が5cmと書いてあれば、5cmかどうかを疑う必要がないのです。
0.0000001mmの誤差も無く、絶対的に5cmでしかないのですから。
紙の間にちょっとだけ滲んだインクのおかげで線が実際は
5.000000000000000001cmであったとしても、
そこは関係ありません。
この様に、「数値が正確」で
「暗黙のうちに仮定した絶対的な抽象世界の中」
で旅をするのが算数・数学なのです。
一方、理科では実際に存在する自然の事象から、
条件付きで一般化していきます。
現実世界では物事の正確な数値は分かり得ないので、
ほとんどの計算がおおよその計算となってしまうのです。
実際に自然を科学した際に、
おおよその計算だと認識しながら理論上の話を考えていく。
このことが理科と算数・数学の大きな違いです。
ここで僕が言いたいことは
「理科の公式は数値が正確に出ないから求めても意味が無い」
とかそういうことでは勿論ありません。
この事実から学ぶべきことは・・・。
おっと。
興味を持っていただいたところで今日はここまでにしましょう。
それでは、よい1日を!
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