こんにちは。
前回から矯正治療の話ですが、
今回から矯正治療の開始時期について、
話をしていきたいと思います。
乳歯列期の歯はすきっ歯なのが理想的です。
まれに「うちの子はすきっ歯なので治してあげたいです!」
という保護者の方の相談を受けますが、
「すきっ歯」は健全なことなので安心してください。
その隙間は「霊長空隙」と呼ばれ、
生え変わりをスムーズに行うために必要な空隙です。
逆に、すきっ歯ではなく隙間なくきれいに並んでいる歯並びこそ、
生え変わりでガタガタの歯並びになってしまう
危険な歯並びなのです。
乳中切歯、乳側切歯と呼ばれる左右の前歯4本よりも、
後に生える中切歯、側切歯の方が大きいのです。
そのため、すきっ歯でないお子さんの生え変わりで
歯並びのガタガタが生じてしましまいます。
「乳歯よりも永久歯の方が大きい」と聞くと、
当たり前のことのように聞こえるかも知れませんね。
しかし、全部の歯がそうではありません。
実は、側方歯群と呼ばれる
「乳犬歯、第一乳臼歯、第二乳臼歯」
の幅径の総和は、後に生える
「犬歯、第一小臼歯、第二小臼歯」
の幅径の総和の方が小さいのです。
その幅径の総和の差は上顎で1mm、下顎で3mmあります。
図の(a-b)と(a’-b’)、(c-d)と(c’-d’)の差です。
これは「リーウェイスペース」と呼ばれ、
臼歯の生え変わりをスムーズに行うための予備の隙間です。
生え変わる際に、それより後方の歯が手前に寄ってくるので、
生え変わってから自然に隙間は詰まります。
そのため、リーウェウスペースを利用して
前歯のガタガタをほぐすということは、自然には起きません。
この話は混合歯列期(乳歯と永久歯が混合している時期。6〜11歳頃)
の矯正治療の話で詳しく説明します。
前歯4本が生え変わって、
歯並びがガタガタしてきても悲観的になるのはまだ早いです。
・歯列弓を側方に拡大する。
・保隙装置と呼ばれる、後方歯が手前に来るのを防いで、
リーウェイスペースを保つための装置を使用する。
・この時期に一番後ろに生えている第一大臼歯
(俗にいう6歳臼歯)を後方へ送って隙間を作る。
などの措置をすることで、
前歯のガタガタを並べることができる可能性が高くなります。
適応や隙間を作る限界はもちろん個人差があるので、
詳しくは専門の歯科医師にご相談ください。
それではみなさん、今日もよい食事を!
カテゴリーや各種特集ページからお越しの方は、ブラウザの「戻る」ボタンでお戻りください。