父親の握り拳

行政主催の集団検診・集団接種に参加すると、
地域から同じ年齢の乳児が集まってくるので、
当然同じ母子と何度も出会うことになり、
そのうちに顔を覚えてしまうものです。

先日の3ヵ月検診の際、乳児を連れたお母さんが、
一緒に2歳くらいのお姉ちゃんも連れてきました。
お母さんが名前を呼んだので、
Mちゃんだということもわかりました。
その日のMちゃんは随分とだだをこねていました。
Mちゃんが「嫉妬」という言葉を知ることになるのは
何年先か分かりませんが、
「そんな気分」の中にいたのは想像に難くありません。
2人の子どもを抱えたお母さんは大変だと思いますが、
Mちゃんに関心を持ち続けることも忘れずにいて欲しいものです。

さて、それから何日かしての予防接種の際にも
Mちゃん親子が来ていました。
弟のための注射なのに、自分がされると思ったのでしょうか、
「痛いからや~だ~、やだ~」と泣き叫んでいました。
「Mちゃんの注射じゃ無いんだよ」
というお母さんの必死の説明も耳に入らない様子でした。
おそらく、以前の「恐怖が蘇った」のでしょう。
気持ちはよくわかります(笑)

私の父親は昔の、「地震・雷・火事」
と並び称されていた時代の「親父」ですから、
怒った時は大変恐ろしいものでした。
子どもにしてみれば「恐怖のどん底」
という表現が適切でしょう。

あれは10年位前のことでしょうか。
私が30歳代後半の頃、
何かの拍子に父親が孫娘(私から見て姪)
を叱りつけている場面に遭遇しました。
だだをこねた孫に対して父親が怒鳴りつけたのです。
ところが、何とその瞬間、小学生の時の「記憶」が蘇ったのです。

 

あの父親に叱られた時の、震え上がるような恐怖心・・・、
ナマハゲ同様、いやそれ以上の恐怖の「感覚」が私を襲いました・・・。
少しの間、父親に話しかけるのもはばかられる状況でした・・・。

40歳近くになっても以前の恐怖は「蘇る」のですから、
2歳児ならなおさらですよね(笑)
あ~恐かった。

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