ある時、幼稚園から妻に連絡がありました。
「今日、Kちゃんがお友達に噛み付きました。
噛み付かれたG君だけでなく、
Kちゃんも泣いてばかりなので細かな状況はわかりませんが、
暴力はいけないと注意しました」ということです。
帰宅後、妻から事情を聞かされたのですが、私は
「Kちゃんが理由も無く友達に噛み付くはずがない。
何か事情があったんじゃないのか?」
と考え、まずは事実関係を把握しようとしました。
叱られると思ったのか、最初は泣いていたKちゃんでしたが、
「まずは何があったのか話してごらん」
という説得に徐々に落ち着きを取りもどし、
その日のできごとについて話してくれました。
すると何と、最初にG君が「首を絞めてきた」*1
ので苦しくて「噛み付いた」と言うではないですか。
私はKちゃんを強く抱きしめて「良くやった」と言ってやりました。
そして、「自分の身が危険にさらされた時は必死に抵抗する」
ように言いました。
当然です。
瞬発的に抵抗できなければ殺されてしまうこともありますから。
私は幼稚園側に対して手紙を書き、
Kちゃんから聞いて分かったことを伝え、
状況によっては「とにかく暴力は悪い」
とは言えないこともあることなどを訴えました。
幼稚園側とはその後も話し合い、和解に至りましたが、
大人が見える光景と子どもの事情がかけ離れていることも
少なくないので、よくよく子どもの言い分にも
耳を傾けるべきことを痛感した事件でした。
(*1)
後年、Kちゃんの説明力が向上したので当時の状況が判明しました。
帰りの幼稚園バスに乗って出発を待っていたところ、
G君が先生の座る椅子に座っていたので、Kちゃんが
「そこは先生の椅子だよ」
と言ったところ、G君が怒ってKちゃんに襲いかかり
首を絞めたのだそうです。
仮にうまく説明はできなくても、
いわば「子どもの言い分」がそこに存在する
ということを痛感しました。
「大人の事情」ばかりでなく、
「子どもの言い分」にも目を向けねばなりませんね。
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