理科という科目で何を学べるのかというテーマで、
前回からお送りしています。
さて、前回は物理の落下距離の話を例に出して、
算数・数学と理科の違いを説明しました。
そこで「理科では何を学べばよいのか?」
という問いを立てて、筆を置きましたね。
今回はそのテーマに沿って話していきたいと思います。
前回のお話で、算数や数学は数という
絶対的に精密な秩序だった世界について考える、
そして理科は実際の自然(現実)について考える、
ということに触れました。
理科では誤差が問題にならない程度の
大まかな公式しか立ってないと。
この事実を考えるだけでも様々な問いがわき上がってきます。
まず一つは、大まかな公式とは言え
「どうやってその公式を見つけたのか?」という疑問です。
理科の法則の発見には様々な方法が取られますが、
基本的かつ一般的な方法の一つに
「実験による仮説の検証」があります。
先の例で言えば、物を実際に落としてデータを取るわけです。
何度も何度も様々な高さから色々なものを落下させる。
その結果をグラフに起こしていくと、
点の分布が多くなる箇所ができるんですね。
そこから仮説を立てて数式として起こしていく。
その後、ある一定以上の納得が得られれば、
それが公式として成立するんですね。
それ以降の検証では、公式が「定理」として
利用されていくわけです。
そうすれば実際に実験を行わなくとも、
証明として十分確からしいということになります。
仮説を元に立てた公式を利用して
新たな公式を証明する作業になるので、
「元の公式」が崩れてしまうと、
総崩れになってしまう危険性を伴うんですけどね。
この様に「科学」とは仮説だらけの世界で成り立ってるんですね。
ともすれば危険な「科学」の中に学べる人間の凄さとは、
なんでしょうか。
ここで特筆すべきは「人間の柔軟さ」なんです。
だって「絶対的に正確な数値でない」
と分かっているのに公式になってしまうんです。
しかも、その公式は人間の計測技術の範囲内での誤差には、
十分対応できてしまう。
この「自分たちに使える範囲で公式化すればよい」
という良い意味での情報の切り方が素晴らしい。
(飽くまで「より精密にしよう」
と日々研究は進んでいるはずです。念のため)
人間が利用する範囲で言えば、
「理論上の仮説」で十分に技術の向上が
行われているわけですから。
建築、医療、交通、生物、宇宙科学など
理系分野は多岐に渡りますが、
研究や実生活に応用する為に
「一般化を設定するレベル」が非常に高いことが伺えます。
言い方を変えれば、
これは「一般化の可能なラインを十分に吟味している」
ということになります。
情報の確からしさが100%では無いからこそ、
一般化が可能か否かという判定に慎重になるんですね。
そして、科学といえど「絶対的不変」ではなく
「条件付きで適応可能」という非常に柔軟な姿勢で、
分かったことを活用しているんです。
最近騒がれている「情報の切り方」
とそっくりなことが行われていますね。
だんだんと、理科という科目を通して
学べることが見えてきました。
今日はここで筆を置きますが、
次回も引き続き理科の話を続けさせてください。
それでは今日も良い1日を!
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