こんにちは。
今回は「永久歯列期の矯正治療」のお話です。
そもそも矯正治療とはなんでしょうか?
Wikipediaで調べてみると、矯正治療の概要は下記のように書いてあります。
「ワイヤーなどによる矯正力により歯を正常な位置に移動させ、
あるいは上顎骨、下顎骨の形態変化を起こすことで、
審美性や顎口腔機能の回復やその予防を目的とする。
不正咬合は多くの疾患や機能障害の原因となり、
これを取り除く矯正歯科の役割は大きい。
日本では、審美目的の矯正などでは保険が適用されないため、
大体60万から120万円の費用が必要となる。
アメリカ合衆国、ニュージーランド、イギリスなどでは保険が適用される。
アメリカでは幼少期の間に矯正治療を行うのが普通である。」
ふむふむ、いい説明です。
さすがWikipediaさんですね。
では、今回はこの文章の前半について解説を補足します。
「ワイヤーなどによる矯正力により歯を正常な位置に移動させ、」
という部分。
歯に装置が付いている映像はなんとなくイメージできると思います。
「あるいは上顎骨、下顎骨の形態変化を起こすことで、」
というくだりは、前回までの混合歯列期の
成長誘導(成長促進と成長抑制)のことと、
保険適用の「顎変形症」の手術で顎の骨の形態を補正することを表しています。顎変形症についてはまた後日、詳しく解説します。
「不正咬合は多くの疾患や機能障害の原因となり、」
とはどんな疾患でしょうか。
例えば、歯並びが悪ければ汚れが付きやすいので
虫歯や歯周病になりやすいです。
また、上顎の歯が下顎の歯より前に位置している「出っ歯」な状態だと、
口呼吸になりやすいので唾液が乾いてしまい
口腔内細菌(口の中のバイキン)が繁殖しやすい状態になります。
口腔内が乾くと外からの細菌やウィルスも体内に入りやすくなるので
風邪に感染しやすくなります。
出っ歯は顔の中で特にぶつけやすいので、
転んだり人や物にぶつかった時に前歯が折れたりかけたりしやすくなります。
反対に下顎が上顎より出てる「受け口」状態でも、
同じように口呼吸になりやすいです。
さらに、噛んでいる歯が少ないので、
臼歯の咬合面(噛んですり潰す面)の溝に
自浄作用(歯と歯ですり合わさって汚れを落とす作用)が働かないので
虫歯になりやすいです。
欧米では、
Mr.インクレティブルやスーパーマン、アメコミなどのヒーロー達のように
下顎が発達したマッチョマンがもてはやされますが、
日本人の食生活に下顎前突は適していません。
また、顎の噛み合わせのずれから歯ぎしりや食いしばりを生じ、
肩こりや全身のズレが起こります。
それにより、体の各関節いにひずみが生じ、
関節痛などの炎症の原因になりうます。
さらに、どのような不正咬合(悪い噛み合わせ)でも、
歯が食べものを粉砕する能力を完全に発揮できませんから、
胃の消化にも悪く、成長発育にも大きく関わってきます。
このように、噛み合わせが悪いだけで全身に影響が出てくるのです。
次回は先ほどの文章の後半について解説していきます。
それではみなさん、今日もよい食事を!
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