しー・・・!しずかに!

スタジオジブリ制作アニメの
『おもひでぽろぽろ』(1991年公開)の中に、
週番の在り方をめぐるやり取りが出てきます。

廊下を走る人をどう取り締まるかという議論の中で、
ツネコさんというませた女子が
「週番は廊下を走った人を走って捕まえれば良い、
何故ならば週番はスピード違反の自動車を捕まえる
パトカーと同じ役目だから」
と主張します。

この場面を見て強く共感するとともに、
自分の学校時代、学校における法体系が
いかに不備だったかを思い出しました。

私は自習時間がとても嫌いでした。
ガキ大将を中心に大騒ぎして読書もできなくなるし、
「学級委員なのだから」という理由で
それを鎮めねばならなかったからです。

それは硬直化したルールのせいで
とても難しい作業でした。
騒いでいる人が遠くにいる場合、
小さな声で注意しても聞こえません。
大きな声で注意すると
「お前も騒いでいるじゃないか」
と反論されます。近くに行って注意すれば
「席を立ったじゃないか」と指摘されます。
つまり、学級委員でも通常ルールが適用され、
何の特権も無い中で義務の遂行だけ求められたのです。

本気で鎮圧しようとするなら、
最後はルール無視の「武力行使」しかなくなりますが、
相手はジャイアンのようなガキ大将ですから、
武力鎮圧も難しく、大抵はこちらが逆に倒されます。
しかも喧嘩になれば「喧嘩両成敗」ルールが
適用されるので踏んだり蹴ったりです。

私の憤りはガキ大将よりも、
現実を勘案しない建前的な硬直したルールを適用し、
学級委員などの責任者に現場の矛盾を引き受けさせ、
見て見ぬふりをする教師達に向けられました。
地位に基づく権力は行使すれども責任をとらない、
組織にありがちな卑怯な上司と同じです。

さらに、疑問を感じながら、
問題点を明確な主張に練り上げて
異議申し立てできなかった当時の自分が残念で成りません。
あの頃にツネコさんのような利発な方がいて発言してくれたら、
どれだけ助かっただろうかと思います(笑)

(*)
週番=1週間ごとに交替で従事する仕事、またそれに当たる人。
昔の学校では、風紀管理、拾得物の管理、清掃チェックなど
学校の管理業務を交替で児童・生徒に行わせていた。

9つの誤解:間違いだらけの“子育て”