高等教育研究家のマーティン・トロウによると、
大学など高等教育機関はその社会の進学率に応じて
社会的役割が変化するのだそうです。
1. 進学率15%まで エリート段階(少数の優秀な人材の教育機関)
2. 進学率15%~50% マス段階(一般大衆の教育機関)
3. 進学率50%以上 ユニバーサルアクセス段階
(誰でも教育を享受できる機関)
日本の場合、大学・短大への進学率は1963年に15%を越え、
2005年に51.5%となりました。
この整理に基づけば現在の日本の大学はすでに
ユニバーサルアクセスの段階にあります。
つまり、大学卒業者だからといって
かつてほど特別扱いされないということになります。
(もちろん、大学にも様々なレベルがありますから
一括りにはできませんが、難関大学といってもかつてほど
アドバンテージがある訳ではありません。
大学卒業者を採用する企業の方も
大学側の内部事情に気付いてきたようです。
そのあたりの状況については別の機会にご説明します。)
そうなってくると、ひと昔前のように
「頑張って勉強して良い大学に入る」ということが
勉強のインセンティブ(動機付け)になりにくくなってきます。
難関大学を出ても希望通りの職に就けないという就職状況も
そのことに拍車をかけているように思えます。
言い方を変えれば、世の大人たちは子どもの
「何故勉強しなければならないの?」という質問に対して
別の回答を準備しなければならなくなったということです。
私自身は中学時代から
「良い高校に入り、良い大学に入り、
良い会社に入るために勉強しなさい」
という大人の説明に納得できなかったタイプの子どもだったので、
むしろ「面白くなってきたなあ」と感じています。
ただ、「え~じゃあ子どもに何て言って勉強させれば良いの」
というお父さん、お母さんの声が聞こえそうですから、
一緒に「勉強するメリット」について、
様々な角度から考えていきたいと思います。
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