結局、教育実習の反省会は
教頭先生が来ないまま終わってしまい、
私の中には釈然としないものが残りました。
また、反省会で質問してきた
女性教諭の言い方に対する反発もあり、
2週間の教育実習そのものが
後味の悪いものになってしまいました。
ところが、聾学校を去る前に、
例の女性教諭が声をかけてきました。
彼女は
「実は教師仲間と一緒に独自にやっていることがある、
今度、その仲間との集まりがあるので、
是非、参加してみないか」
と言ってきたのです。
「内容はここでは言えないので、当日、詳しく説明する」
ということでした。
これは意外な展開でした・・・。
反省会の物言いから、彼女に対して
「やる気の無いデモシカ先生(*)」
ではないかと思っていたのですが、
実は独自に行動を起こしていたのです。
「詳しい内容はその時に」
と言われたので、
あれこれと想像を巡らせました。
もしかしたら
「教師仲間と一緒に、
教育の課題の解決のために密かに研究会などをやっている、
ただそれこそ体制批判にもなるような
新しい試みもあるのであまり表沙汰にはできない、
私に対してドライな物言いをしたのは
教育実習生の本音を探ろうという考えだったのでは無いか・・・。」
などと、完全に自分勝手に妄想を展開させていました。
当時の私は、独善的な面もありましたが、
若いながらに教育に対する問題意識を持ち、
何かしらのアクションをしたいと思っていましたので、
行動する人たちとは「連帯」したいと考えていたので、
様々な会合に参加していましたが、
その教師の会合に足を運んでみることにしました。
教育実習後、少ししてからの日曜日だったと思います。
指示されたアパートに出かけました。
すると、すでに何人かの大人の男女が集まり、
車座になって話をしていまいた。
「よく来たね~」
と歓迎され、説明が始まりました。
ところが、
それは「教育に関する研究会」などではありませんでした。
「洗剤を売ってみない?」
という全く想定していなかった展開でした。
(*)
戦後、教師の採用枠が急増して
志望すれば教師になれた時代の言葉で、
「他にやりたい仕事がないから先生でもやろうか」
「特別の能力が無いので先生しかなれない」
という消極的動機で教職についた人に対する蔑称。
ただし、元々は「デモしかしない」先生の意味だったそうです。
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