何と、彼女達の活動というのは、
米国生まれの有名なマルチ商法(*)だったのです・・・。
彼女達は、それによって将来どれだけ幸せになれるかを
懸命に説明してきました。
「良い商品なんです」
「コツコツ売り続け、世界旅行をした」
など、洗剤の実演をしたり、
旅行の写真を見せたりしながら、
本当に幸せそうに夢を語ってくれました。
私はその商法の是非を云々するつもりはありませんが、
言葉の端々に
「教師をやっていても苦労の割りに見返りが少ない、将来性が無い」
など、
「教師の仕事はつまらないものだ」
という言い方をすることに憤りを覚えました。
「少なくとも、多くの学生は教師になることを目指して
教育大学に入り、教育実習に来ているのです。
その学生に言うことではないでしょう、
しかも、私の教育実習に対する姿勢をみたら、
教師の仕事を片手間でやるような人間とは
『対極』にいることがわかるでしょう!」
と言いたい気持ちで、
下手をすると喧嘩しそうなくらい頭に来たのですが、
この時は、何故か冷静でした。
彼女達の説明を一通り聞いた後で
「確かに、みなさんの活動の先に
楽しいことが待っているかもしれないし、
教師の仕事は大変かも知れません。
でも、私はそういう苦労を乗り越えること自体も
人生の喜びだと考えています。
もし私が商品の販売に生き甲斐を感じるのなら別ですが、
私は教育関連の仕事に従事したいと思っていて、
マルチ商法には『全く』関心がありませんのでお断りします。
さようなら。」
と言ってその場を去りました。
歳を重ねた現在、
若い頃の自分に対して叱ったりアドバイスしたりしたい
と思うことはしょっちゅうありますが、
この時は「大人」の対応だったと
自分を褒めてあげたいと思っています(笑)
それにしても、よりによって何故、
誘ったのが「私」だったのか・・・。
今でも最大の謎です。
私が逆の立場だったら、
教育実習に対する姿勢を見て
「間違い無くコイツは断るだろう」
と予想しますが(笑)
(*)
日本では「マルチ商法=悪徳商法」
という意味が語られることが多いのですが、
問題のある商法は「悪徳マルチ商法」
と言うべきだとの指摘があります。
ここでは本来の「連鎖販売取引」という意味で使っています。
私個人は、当該商法の是非を論ずる情報を持ち得ませんので、
中立の立場で述べています。
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