親子:手

長女のRちゃんと出会ったのは彼女が5歳の時。
最初の結婚に失敗してRちゃんと2人暮らしをしていた母親と出会い、
意気投合し、結婚に向けて話が進み、あとはRちゃんが
私を気に入るかどうかという段階になってからのこと。
ある日、Rちゃんと親子になるための「お見合い」をしたのです。

Rちゃんは小さい頃から人見知りをしない性格で、
待ち合わせのコンビニで「あなたがRちゃん?」
初めて声をかけた時も、ニコニコしながら
「そうだよ」と答えてくれた。
「何て明るくてかわいい子なんだ、
この子の父親になれたらいいなあ」
というのが率直な感想でした。

その後、ファミレスでの食事とおしゃべりも盛り上がり、
あらかじめ用意したプレゼントのおもちゃも気に入ってもらえて、
アパートでしばらく遊んで、良い感じで「お見合い」は
終了しました。
まずは第一段階クリアかなあとほっとした数日後の朝、
Rちゃんの母親から電話がかかってきました。

母:「ちょっとお願いがあるんですが・・・
Rが風邪を引いてしまって・・・。保育園に預けられず、
仕事を休むわけにもいかず・・・。
今日一日、Rを預かってもらえませんか?」

私:「今日は一日中アパートで仕事をするつもりだったので
構いませんよ。でも、一度しか会ってないのに大丈夫ですか。
Rちゃんの方が恥ずかしがったり警戒したりするのではないですか?」

何と、Rちゃんの母親、大勝負に出ました。
ダメで元々、風邪を引いてしまったRちゃんに
「いつも通りおばあちゃんのところに行く?
それともこの間のおじちゃんのところに行く?」
と聞いてみたのです。
するとRちゃんの回答は
「この間のおじちゃんの所!」
という驚くべきものだったのです。

母親には、一日中一緒に過ごすことで、
私とRちゃんとの関係を一気に深めよう
という思いがあったのでしょう。
私はというと、父親になるための通らねばならないプロセスと
腹をくくり、全力でお世話する覚悟を決めたのです・・・。(続く)

 

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